教科の繋がり保てるか?教科担任制の難しさ

教科の繋がり保てるか?教科担任制の難しさ

小学校の担任は、中学や高校に比べ持ちコマ数が多くなっています。私が6年生を担任をしていた時は、週に2〜3時間の空きコマがありましたが、学校によっては空きコマが0というのも珍しくありません。

そうした中、一見「教科担任制」を導入することにはメリットがありそうです。1つは担任の負担が軽減できるという点です。複数の教科に時間を割くことがなくなれば、当然持ちコマ数が減り担任の負担軽減につながるはずです。

もう1つは、教科の専門性が上がり、質の高い授業ができるという点です。空きコマも確保でき、教材研究に力を入れることができれば授業の質も子どもの学びも、より良いものになるはずです。

 しかし、現実的に考えるとデメリットも見えてきます。

この記事の書き手

26歳で元小学校教員。本業はシステムエンジニア。副業兼趣味でWebライターとして活動しています。Twitterブログ

各教科の学びがぶつ切りに

まずは、教科横断的な学習が難しくなるという点です。
小学校は担任が1人で全ての授業を受け持つことが多く、大きな負担となっているという現実があります。負担は大きいものの、各教科に繋がりを持たせた授業作りができるという利点があります。

中学校と違い、小学校では教科の垣根を越えて学習を深めることがよくあります。例えば、修学旅行で平和学習を行う際に、事前に社会で戦争について学んだり、音楽で平和の歌に触れたりします。国語の授業で戦争の物語も学びます。

ですが、教科担任制の導入で複数の先生がそれぞれのやり方や進度で授業を進めていくと、各教科の学びがぶつ切りになってしまうのではないでしょうか。小学校の学習において少しもったいないのではないか、という懸念があります。

まずは教員確保から

人材確保が難しいという点もあります。現在、教員の人手不足問題は深刻です。
NHKによると、全国の小中学校で少なくとも500人の教員が不足しているそうです。教員の労働環境はかなり過酷です。実際に私が教員だった時も、保護者対応・行事準備などで時間外労働や休日出勤を強いられることが多々ありました。


文部科学省の調査によると、年間約5000人もの教職員が精神疾患を理由に休職しているそうです。このままでは教員は減り続ける一方でしょう。教科担任制を導入することで、担任の負担が減るとが期待されていますが、この人手不足のまま移行するのは不可能だと思います。追加の人員が確保できてからでないと、現場に余計な混乱を招いてしまうことは目に見えています。

教科担任制で担任の負担を軽減するとともに、授業の質を高め、子どもの学びがより良いものとなるのはとても素晴らしいことです。しかし導入するにあたって、まだまだ検討が必要な事項があると考えます。

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