年間5000人。なぜ教員は心を病むのか

年間5000人。なぜ教員は心を病むのか

「人に何かを教えるってやりがいがあって楽しそう」
教員という仕事に対して、そんなポジティブな声もありますが、
「教員はすごくブラックな仕事」「モンスターペアレントの対応とか大変なのでは…」など、ネガティブなイメージを持つ方も多いでしょう。

事実ここ数年、教員の仕事はとてもハードで、心を病んでしまう人が後を絶ちません。

そこで今回は、

①心を病む学校の現状
②元教員として分析する、メンタルを壊す要因
③教員を取り巻く環境を改善するための提案

を書いていきます。学校現場できつい思いをしていたり、これから教員になりたい方は参考にしていただきたいと思います。

この記事の書き手 
20代のWebライター。
2014年〜2020年まで6年間小学校の教員として勤務し、
2年生、支援学級・などを担当していました。

5000人が心をやむ。状況はずっと変わっていない

文部科学省は、「人事行政状況調査」という調査を行っています。

この中で、精神疾患による病気休職者数についても発表をしています。

2018年度(現時点で最新)の調査によると、精神疾患による病気休職者数は5212人で平成19年度以降5000人前後で推移しているといいます。

文科省の資料よりキャプチャ)

このことについては大きな反響を呼んでいて、産経新聞やYahooニュースでも取り上げられています。

全教員の数から見ると、100〜200人に1人となりますが「これは氷山の一角である可能性が高い」とYahoo!ニュースの中で教育研究家の妹尾氏は述べています。
「病気休職になる手前は、病気休暇といって、90日くらいまで休めます。(上限日数は各都道府県の条例等による。給与も支給。)また、休むと周りに迷惑がかかるからといって、休めないでいる教員も多い」。

5000人の他にも、休職にまで追い込まれるリスクのある教員が存在しているということです。

では、どうしてこれだけ多くが心を病んでしまうのでしょうか?元教員の立場から分析してみました。

メンタルを壊す、3大要因

まず、1つ目の問題児についてです。

問題児の担任になると、クラス替えまでの1年間、毎日接することになります。私は1年目の時に受け持ったことがありました。他の先生からの「褒めて、自己肯定感を育てるとよい」というアドバイスを実践することで、子どもが落ち着いてきたように思います。

しかし、問題児がいると授業ができないし、他の児童とのトラブルも絶えない。そのせいで精神的に消耗してしまい、病んでしまうことがあると思います。
また、モンスターペアレントの対応も難しいです。
昔は教員の地位がとても高く、先生に対して文句を言うような保護者は多くなかったようです。
しかし、最近は一部の保護者が担任に対して無理をたくさん押し付けてきますし、教員のやり方に対して文句を言う人もいるでしょう。
そうした”モンスターペアレント”が原因でメンタルを壊してしまう人もいます。

さらに見逃せないのが教員同士の人間関係です。パワハラやいじめなどが起こっている学校もあります。その実例の一つが神戸の小学校での事件。同僚から羽交い締めにされ、激辛カレーを無理やり食べさせられる、というニュースは記憶に新しいですね。
私の勤務していた学校でもパワハラがありました。全職員の前で叱る、子どもに対して自分の悪口を吹き込まれる、などは私が実際に経験したことです。

教員以外ができる仕事はカットするべき

世界的にも、日本の教員の労働時間は群を抜いて高いことは良く知られています。少しでも残業時間が少なくなれば、メンタルの改善につながります。

問題児やモンスターペアレントは避けられない問題でもありますが、パトロールや登下校時の見守り、また部活の顧問などは先生以外でもできる仕事です。地域の人や外部講師にお願いすることができるはずです。そうした時間をカットし、本来の業務である授業やその準備に時間を宛てられるように、先生が持つ業務を仕分けしていく必要があるでしょう。

しかし、パワハラについては学校に限らず問題になっています。こうやって改善した、などの体験談がありましたら、ぜひTwitterやメールで教えてください!

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