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人気職業の保育士、なぜ人手が不足する?

「2024年までに、保育所の待機児童14万人分の受け皿を整備する」。国が待機児童解消に向けて本格的に動き出しました。しかし問題は、保育士の確保です。

高校生のなりたい職業では3位にランクインするほど人気職業ですが、一体なぜ人手が不足しているのか。そのやりがいや苦労、さらには保育士のなり手を増やすにはどうすればいいのか、ということまで、現役保育士として感じることを綴っていきたいと思います。

表現できる保育の世界に魅力を感じた

大学へ入学した当初、私は高齢者関連の仕事に就く事を目指していましたが、同時に保育士の資格を取得するためのコースも履修していました。ピアノを弾いたり、歌ったり、踊ったりする毎日を過ごす中で「表現する機会が多い保育の世界はなんて楽しいんだろう」と感じ、私は保育の世界に足を踏み入れました。

資格を持ちながら、実際に働くのは4割

保育士の資格をもちながらも保育士として働いていない人を「潜在保育士」と呼びます。厚生労働省によるとこの潜在保育士は6割。つまり保育現場で働いているのは、資格をもっている10人に4人ということです。資格を取得した上ではじめから違う業種に就職する人もいますが、いったん保育士として働いて辞めていく人もたくさんいます。

若手保育士が抱える「命」の責任

pixabay

保育士の仕事で一番重要なのは子どもの命を守ることです。危機回避能力が未熟な子ども達にとっては、遊んでいる時も、食べている時も、寝ている時でさえも命懸けです。保育士は一瞬たりとも目が離せません。命を預かるという事は、本当に責任が重く、大変な事です。

命にかかわらないとしても、保育士は常にケガを防ぐ事に全神経を張り巡らせています。特に1~2歳児はまだ自分の気持ちを言葉で表現できず突発的に友だちを噛んだり、ひっかいたりする時期です。跡が残るような傷ができないよう保育士たちは必死の思いで止めに入ります。そんな現場では20代の保育士も少なくありません。

保育士の半数が経験8年未満という調査報告が出ています。経験年数の多い人は管理職についている場合も多いので、実際に保育する現場では20代の若い世代が多いのです。子育て経験のない若手が、命という責任の重さに耐えかねて辞めたくなるのもわかる気がします。

国の最低基準では、以下のように保育士が配置されます。

0歳児なら3名に1人
1~2歳児なら6名に1人
3歳児なら20名に1人
pixabay

子どもが皆きげんよく遊んでいるのであればその配置でも良いでしょう。ただ相手はまだ小さな子どもなので、そうもいきませんね。そのような中で私たち保育士は試行錯誤を重ねながら子どもたちと向き合っています。

大変な現状とは裏腹に、やりがいを感じる瞬間もたくさんあります。発達が著しい乳幼児期の子ども達は毎日どんどん新しいことに挑戦しています。挑戦することで成長していくのです。発達に見合った環境が用意できたり、子どもが「できた!」と目を輝かせたりした時には保育士冥利に尽きるなぁ、と思います。

保育士のなり手を増やすにはどうすればいいか

保育士を目指す人を増やすために必要なのは、まず現場で働く保育士が輝く事です。保育士の専門性を世の中に理解してもらい、認められる事も大切です。そのためには発信力が必要となってきます。

例えば「てぃ先生」というYoutuber。こちらは現役の保育士さんです。

登録者約27万人(1月時点)で、子育て中の方や保育士の役に立つ情報など、頻繁に動画をアップしています。あくまでも一例ですが、身につけたノウハウを発信していくのは、保育士が輝く良い方法ではないでしょうか。

また、園ごとにインスタやTwitterを取り入れて発信できると、園の特色を伝えられて良いのではないかと思います。 現場の保育士にできることとしては、実習にきた学生さんに保育の専門性や楽しさを語ることでしょうか。

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また、保育士が学校の授業で生の声を発信する機会を作っていくもの良いですね。今ならリモートでもできそうです。 もちろん、保育士経験を重ねた私がwebライターとして記事を書いていく事も発信の一つだと思って取り組んでいます。

「私もこの保育士さんのように保育の現場で働きたい」と思ってもらえれば、保育士を目指す人も自然と増えるのではないでしょうか。保育士は普段の保育の中で専門性を高めると同時に、保育の価値を社会へ発信していく事も大切だと私は考えています。

38歳女性。16年保育士として働いている。