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【9月入学、どう考える?】秋入学よりも先に導入すべきこと

「秋入学制度を導入すれば、学生の海外留学を促進できて、海外からの留学生も受け入れやすくなる」

とよく聞きますが、そもそも入学する時期をずらすだけで、国内外の留学生の数は本当に増えるのでしょうか。

私は9月入学に条件付きで反対です。

留学を阻害している経済的な要因を分析し、「秋入学よりも先に導入すべきこと」について解説していきます。

留学生の数は増えている

内閣府が行った「我が国と諸外国の若者の意識に関する調査(平成30年度)」によると、あなたは、将来外国留学をしたいと思いますか?という質問から、日本人の留学への後ろ向きな姿勢が浮かび上がる。

日本は53.2%と、調査対象となった他の6カ国(韓国 22.0%、アメリカ 24.0%、イギリス 34.8%、ドイツ 35.5%、フランス 30.0%、スウェーデン 31.5%)の若者と比べて突出して高い。

しかし、日本人学生の留学件数が減少しているわけではありません。

令和2年4月に文部科学省が発表した「外国人留学生在籍状況調査」及び「日本人の海外留学者数」等によると、2018年度の留学者数は全体で115,146人、前年から約1割の伸び率です。

長期留学者数は、伸びず

ただし、そのうち単位の取得を伴う長期留学を行う日本人の数は横ばいを続けていることがポイントです。

文部科学省より

上の図からもわかるように、留学者数自体は増えているものの、全体を押し上げているのは、1ヶ月未満の留学者です。
「短期的な留学に参加する学生は増えているが、単位取得や就職を前提とした長期留学には尻込みしている」と言えるでしょう。

では、学生の長期留学を阻害する原因は何でしょうか。

経済的余裕がない

子供の大学入学にかかる費用(受験費用や入学金など)は、国公立大学で71.4万円、理系の私立大学84.5万円、文系私立大学86.6万円。

授業料や教材費まで含めて考えると、国公立大学では年間107万円、理系私大なら184.3万円、文系私立で157.6万円がかかります。 

日本人の平均年収は441万円(国税庁 平成30年分民間給与実態統計調査結果)ですから、国公立大学に進学したとしても保護者の年収の約25%が学費にあてられることになります。

共働きだったとしても年収の12%なので、かなり家計を圧迫することは避けられません。

画像:pixabay

この要因を無視して「勉強しやすいように入学時期を変更します」といったところで結果が変わらないのは明白です。

学生を経済的にサポートできる体制を整えれば、学生は少なくともお金の心配をする必要がありません。

逆にいうと、入学時期そのものをずらさなくても、既存のシステムの中身を変更すれば事足りることになります。

給付型の奨学金制度のさらなる整備はもちろん、帰国後の就職活動シーズンまでのブランクを心配しなくて済むように、公的機関や企業側の協力も不可欠になってきます。

例えば、

  • 日本学生支援機構による海外留学支援制度(学部学位取得型・給付型奨学金制度)の採用人数枠を拡大する
  • 2020年4月から始まる大学の入学金・授業料の免除制度で対象となる世帯収入要件(住民税非課税またはそれに準ずる世帯)を引き上げる
  • 新卒一括採用制を見直し、採用実施時期を柔軟に設定する

などのサポートが必要です。

「内向きは良くない、海外に出ていこう!」とか「海外経験を積んだ優秀な人材を求めています」といった誘い文句が効力を発揮するのはその後の話です。

給付型の奨学金制度のさらなる整備はもちろん、帰国後の就職活動シーズンまでのブランクを心配しなくて済むように、新卒一括採用方式を見直すなど企業側の協力も不可欠になってきます。

それが整わないのであれば、9月入学に良い効果はないでしょう。

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フリーのwebライター。30代